フラックスゲートセンサ
 

パーマロイワイヤで作るフラックスゲートセンサ

    超高感度の磁気センサーとしては超伝導を応用したSQUIDがありますが、極低温でしか使えません。ここでは室温で使える磁気センサーの中では、最高感度を持つと言われるフラックスゲートセンサーを紹介します。これは、軟磁性体の非線形応答を利用したもので、地磁気などの微弱磁場の検出に用いられます。

    外部磁場Hの中で反平行に繋いだ2次コイルに発生する起電力Vは、コアの磁化をM(H)、変調磁場をΔH(t)とするとd{M(H+ΔH(t))−M(−H+ΔH(t))}/dtに比例します。軟磁性体の磁化が磁場に対してM(H)=χH+χとなるとすると、

    M(H+ΔH(t))−M(−H+ΔH(t))=2χ+2χ+6χΔH(t)

となり更にΔH(t)=ΔHsinωtとすると

    V∝6χΔH・2sinωtcosωt∝6χΔHsin2ωt

になります。即ち、入力変調の2倍の振動の成分を検出すると外部磁場が求まります。

    まず、78パーマロイのφ0.1のワイヤをボビンに10回巻きます。次に、巻いた78パーマロイの束の3箇所に被覆銅線をそれぞれ20回巻きます。対辺のコイルを逆向きに直列に結線すれば完成です。

    1次コイルに交流電流を流し、2次コイル側をロックインアンプにつなぎ2倍波信号を検波すると磁場が検出できます。

 左の写真は平成22年の本研究所一般公開で展示されたものです。

原理図:実際には磁性体が太過ぎて機能しない

完成品