Last updated: Aug. 08, 2018
榊原研究室では重い電子化合物や四重極転移系などの、低い特性温度を持つ強相関電子系物質の磁性を研究しています。
fイオンを含む金属化合物では殆ど局在したf電子と結晶中を自由に動きまわる伝導電子との混成効果のために、
実に多彩な磁気・伝導現象を示します。
混成効果はf電子のスピン・軌道間の相互作用をもたらし磁気転移や軌道整列(四重極転移)を引き起こす一方で、
近藤効果によって局在モーメントを消失させる働きもあります。
これら相反する作用の結果、重い電子状態と呼ばれる電子有効質量の極めて大きい常磁性金属状態、
非s波超伝導、多様な磁気転移や四重極転移、などが現れます。
これらの現象の多くは1 K以下の極低温で現れるため、低温実験が欠かせません。
当研究室では独自に開発した極低温磁化測定装置を主体にこれらの研究を行っています。
この装置は20 mK以下の温度領域で15 Tまでの磁場スキャンによる
精密磁化測定が行えるのが売り物です。
実際にどのような研究を行っているか、またどのような測定が可能か、については以下の例をご参照ください。
実験手段・装置についてはこちらをご覧ください。
◆◆ 最近の研究リスト ◆◆
【 2018年8月 】 Sr2RuO4の超伝導秩序変数の再検証:超伝導ギャップに水平ラインノードが存在
【 2018年6月 】 磁場回転に伴う磁気熱量効果を利用した磁場角度分解エントロピー測定法
【 2017年9月、2018年3月】 強磁性鎖ベースの梯子鎖を有するフェルダジルラジカル系有機磁性体における量子臨界現象
【 2017年9月 】 URhGeの磁場角度分解磁化
【 2016年8月 】 CeCu2Si2の超伝導ギャップ構造と磁場中対破壊効果
【 2016年8月 】 重い電子系超伝導体の磁場角度分解比熱
【 2016年7月 】 磁場角度分解比熱の全方位測定から明らかにしたUPd2Al3の超伝導ギャップ構造
【 2016年2月 】
カイラル
【 2015年4月 】 角度分解磁場中比熱測定から見たUBe13の超伝導ギャップ構造と重い電子状態
【 2015年1月 】 スピン1/2一次元鎖ハイゼンベルク反強磁性体CuPzNにおける磁化の量子臨界的振る舞い
【 2014年12月 】 Sr2RuO4の超伝導一次転移において鋭い磁化のジャンプを観測
【 2014年2月 】 CeCu2Si2が実は多バンドフルギャップ超伝導体であることを解明
【 2013年12月 】 比熱測定から検証した鉄系超伝導体KFe2As2のノード構造とマルチバンド超伝導
【 2013年11月 】 極低温角度分解磁場中比熱測定から見た異方的s波超伝導体CeRu2のギャップ構造
【 2013年3月 】 多極子秩序系PrV2Al20の高磁場秩序相
【 2013年1月 】 重い電子系超伝導体UPt3の異常な磁場方位依存性
【 2012年9月 】 Yb2Pt2Pbのスピンフロップ相と高次多極子
【 2012年2月 】 角度分解磁場中比熱測定から明らかにしたCeIrIn5の超伝導ギャップ構造
【 2011年7月 】 YbCo2Zn20の磁場誘起秩序相
【 2010年1月 】 CeCoIn5の超伝導ギャップ構造
◆◆ 2009年以前の研究リスト ◆◆
Modulated Quadrupole Ordering in PrPb3
回転磁場下の比熱測定による異方的超伝導体のギャップ対称性の研究
スクッテルダイトPrOs4Sb12の超伝導転移と磁場誘起秩序転移